今回は2回にかけてオープンバレル圧着ピンを正しく圧着する方法について投稿したいと思います。
オープンバレル圧着ピンとケーブル
オープンバレルとはこういうやつ
これじゃあないです。
圧着した端子をハウジングとかレセプタクルと言われるプラスチックシェルに差し込んで使う、小電力タイプのコネクタです。ATX電源もワッテージがかなり上昇してきましたが、出力電圧を考えると小信号に分類されます。一般的にAWGという単位の電線を使用します。
下のタイプは電力タイプのコネクタです。100Vを超えるようなところに多く使われます。圧着したらネジ端子台につけるようなタイプですね。こちらは電線の太さはmm2(sq・スケアー・スケとか秋葉原のおっちゃんは言いますね)単位を使います。
ですので、AWGというと小信号用だな、スケアーというと電力用だなという形で各社ケーブルラインナップが揃っています。
こちらの読者はAWGを使う機会が多いと思います。AWGは数字が大きくなるほど線が細くなります。大抵はAWG16~AWG28の間のケーブルを使うでしょう。一番太くてAWG18ですかね~。16を使うことはめったに無いと思います。細い方はAWG28かなー、最近は。仕事ならAWG30やそれ以下を使うかもしれません。
AWGは導線の太さですが、被覆の太さは違います。ただ、何も表記されていないならUL1007というのが一般的な被覆の仕様です。これは電線の被覆が耐えられる温度を表します。もちろん高温に耐えられる仕様なら電線の被覆が太くなります。
なお、被覆から導線を出す時に使う工具をワイヤーストリッパーというのですが、これもAWGタイプとφmmタイプとあります。両方兼ねようと思わないほうがいいです。すごいストレスたまりますし、圧着の第一歩は被覆を正しくむくことから始まります。
こちらのタイプは単線(より線ではない)で1mm2以上の線をむく時に使います。あまりより線や細い線には向いていません。
導線と被覆と分けて考える
なぜ導線と被覆を分けて考えるかというと、圧着する時に導線と被覆は別々に圧着するからです。
先程、AWGは導線の太さ、被覆は別に規格がある(UL1007がデフォルト)と書きました。これは本来なら考えなくてもいいんです。専用圧着工具を買える石油王なら。
こちらはATX電源で使われているMinifit Jr.シリーズの専用圧着工具ですが、値段がエグいです。ただ、まだこのMinifit Jr.シリーズの圧着工具は値段が安い方で、他の専用圧着工具は5万とか10万とかザラです。ただし、出来上がったときの美しさ、確実性、作業性はさすが専用圧着工具と絶賛できます。
専用工具はAWG**,UL1007を使うこと限定しにしていますので、ぴったりあてはまります。
ところが、一般人には流石に手が届かないので、汎用のオープンバレル工具を使い、導線と被覆とを別々に圧着します。ですから、導線と被覆とを分けて考えるひと手間が必要なのです。
選んでいい工具、選んではいけない工具
海外でも大絶賛。
この2つの製品はそっくりなのですが、ダイの部分の設計が少し違うようです。PA-20がいろいろ対応できて良さそうです。使いやすいです。
お高いけど、必須。なぜ必須かは次の記事に書きます。
選んじゃいけない工具はこれ!
ノーブランドだったり、IWISSというブランドだったり、取っ手のゴムが青だったりしますが、SN-01BとかSN-48Bとか、みーんな同じもの(ダイはちょっと違いますけど)です。海外では中国製圧着工具ってひとくくりで呼んでいますが、ユニバーサル2段式圧着工具なんてありえないんです。安物買いの銭失いとはよく言ったものです。よくこの工具があちこちで売られているのか不思議なぐらいです。(見た目で判断されてるのか、禁断のはんだ付けをしてるのか)
私は2個買って、2個捨てました。2個買ったのは、1回買って「うそやろ、これ不良品?」と疑い、もう一つ買ったからです。品質もバラバラでしたし。ラチェット構造も粗悪。対応ピンでは、ありえあいピンも謳ってますし。
次回は、圧着の極意、圧着のなぜなに?など、説明します。