「鉱石ラジオ」なんて聞いたことないですよね。私も頭の片隅にその言葉が残っているぐらいの知識しかありません。
昔、すべての電気装置はアナログでした。いえ、今でもアナログです。アナログの延長にデジタルがあり、数学が加わって今のIT時代が来ています。
正直、私は今の時代が好きではありません。何もかもわからないうちに動いていて、わからないものによって生活が支配されている。すべてをわかろうとするのは傲慢かもしれませんが、嫌なものは嫌なんです。
小学生でも電子回路を学べたのは、学研の電子ブロックが売られていた時代ではないでしょうか。パーツに555があったんですよ!?小学生が555を使うってどういう小学生なんだ!?と思いませんか? 私は小学生の時、学研の付録でAMラジオを作るキットが入っていて作りました。目で見て部品の機能がわかるので、小学生でも理解できたんです。ゆえに、今なんでAM放送が終わらないのかを理解できます。AMラジオは手で作ることができるほど簡単な構造だからです。(デジタル回路とは相性が悪いですね。AM変調は)災害の時、最悪はAM放送さえあればいわゆるブロードキャスティングができるんです。電池がなくても!アナログはスマートではありませんがすごいんです。
そのスマートではないものに魅力を感じる人、いませんか?
私達が言うアナログ回路よりもっともっと、私達が生まれる前にあった昔のアナログ回路は部品が大きく、大きいゆえに原理がわかり、その姿はスマートではないですが、少年が雑誌を読めばラジオを作れる、そういう体感的に理解できるものでした。それができたのは、機械的なアナログ部品を目で見て原理を理解できたからでしょう。頭じゃなくて目で学べたんです。考えたやつすげーとか、ここまで気合い入れて作ったやつすげーって思うわけです。そんな時代に魅力を感じます。
そんな魅力をアートに昇華した人が小林健二さんです。
アナログ部品を手作りするだけでもアートです。コイルの巻き方、バリアブルコンデンサなどなど。
ニキシー管が好きな人はきっとこの人のアートに引き込まれるはずです。